天体観測ドーム付住宅・その2

天体観測で最も注意すべきは振動なのだそうです。たとえば月のクレーターを見ているときなどは、100倍以上の倍率で見ています。ゆらゆらと揺れる大気の揺れまで拡大してしまうほどなので、ほんの少し風が吹いただけで、天体望遠鏡が揺れるようでは像が揺れて綺麗に見ることができません。 意外に思われるかも知れませんが、家の中を人が歩くだけで、あるいは外を吹く風の影響や近くを通る車の振動などで、建物は揺れています。また観測者自身も揺れの原因となります。天体観測ドーム付住宅

振動・揺れ対策として、鉄筋コンクリート造の住宅なら、天体観測室の床を二重にするだけでも、かなり振動防止効果があるのですが、 木造住宅の場合はそうはいきません。今回、ご紹介する事例は在来工法の木造住宅で、まして屋根の上となると2層分持ち上げなければならないため、 写真のように天体望遠鏡を載せる架台の部分だけ、基礎から鉄筋コンクリート製の柱を建て、各階の床を貫いています。天体観測ドーム付住宅

建物と天体望遠鏡を載せる架台がつながっていると、建物の揺れが天体望遠鏡に伝わるため、このコンクリート製の柱は建物と縁切りをして独立させ、建物の振動が伝わらないようにしています。

天体観測ドーム付住宅

下の写真はコンクリート柱の天端です。この上に天体望遠鏡架台を設置します。
余談ですが、基礎がしっかりとした重量物であれば、天体望遠鏡架台を設置する柱は、鉄骨造や木造でも可能ですが、一般的な建売住宅のベタ基礎の場合は特別な対策が必要です。また敷地だけでなく周囲の条件や天体観測にどの程度の精度を求めるかによっても、変わってくると思います。天体観測ドーム付住宅