「機能とデザイン」

上の写真は何だと思いますか?
建物の一部で、全体像はこんな↓建物です。
 
京都市内にある「旧京都中央電話局 上分局」という建物で、
大正12年に吉田鉄朗氏の設計により建築され、
京都市登録有形文化財に登録されています。
(「旧」と付くように今は別の用途で使用されています)
「ドイツ民家風のディテールに特色を持つ」と書かれている通り、
細部の至るところにまでデザインが施されていました。
今回はその一部をご紹介する事としまして・・・
最初の写真に話を戻しましょう。
少し退くとこんな感じで、
そう、あの「うずまき模様」は基礎内通気口の蓋の格子です。
なんともかわいらしい・・
そして窓手摺にも同じデザインを発見↓
機能重視で無視されがちな些細な部分にまでデザインがなされており、
かつ、そのデザインは建物全体から見ても決して浮くこともなく、統一感を
持たせてある感じがしました。
一般の木造住宅でも床下通気といえば少し前までは
このような通気口(蓋は普通の縦格子)を設けていたのですが、
近年では、基礎パッキン工法が主流になりつつあります。
 
右の様な2cm厚程の材料を基礎の天端に1m間隔ぐらいに置き
基礎のぐるり全周から通気をはかる工法で、換気の面積数値で比較すると
換気口を上回ります。
また、基礎に開口を開けない為強度が保たれる事と
施工性が良いことから主流となってきているのでしょう。
というわけで、京都の写真の通気口は、現代にはなくなりつつある
ものなのですが、実際の換気能力はこちらの方が優れていると
提言する人もおりますから、昔の人の知恵とはすごいものですね。
設計者も施主様も十人十色で、いろいろな考え方があると思いますが、
私は、建築において機能は必然であり、そこにいかにデザインを関連付けさせられるか!
その結果として、建物は合理的な良いものへとつながっていくのだと思います。
機能だけのそっけない建物・デザインばかりが一人歩きした建物
はどこか強引でひとりよがりな感じで、どちらも兼ね備えた建物づくりを
いつも心がけて頑張っていきたいと思います。